ぷりんのゲーム日誌

PCゲームやアニメについて適当に語る予定

Oculus Rift SとMeta Quest 2のスペック比較 ~買い替えるべきかどうか~

Oculus Quest 2の外観

YouTubeより引用

 本記事では既にOculus Rift Sを持っている人がMeta Quest 2 (Oculus Quest 2) に買い替える価値があるのかを両デバイスのスペックを見ながら考えていきたいと思います。

【2022/7/27追記】Meta Quest 2の価格改定により、37,180円から59,400円に値上げされました。買い替えの大きな利点だった価格が変わったのでこれから買い替えする予定の人は一考した方がよさそうです。

【2022/1/27追記】「Oculus」ブランドが「Meta」に変わり、「Oculus Quest 2」は「Meta Quest 2」に名前が変わりました。ただ、中身は同じものです。本記事では名前を併記して記載します。

【2020/11/7追記】発売後のTwitterや各レビューサイトの反応から個人的に気になった点をまとめました。

初めてVR機器を買う予定の方はこちらの記事もおすすめです。

ppurin.hatenablog.com

スペック比較表

  Meta Quest 2 Oculus Rift S Oculus Quest
解像度 (一枚当たり) 1832×1920 1280×1440 1440×1660
リフレッシュレート 72Hz (90Hz) 80Hz 72Hz
液晶 LCD (液晶ディスプレイ) OLED (有機EL)
ピクセル配列 ストライプ ペンタイル
スタイル スタンドアローン PC接続 スタンドアローン
IPD調整機能 三段階 ソフトのみ スライダー
発売時の価格 (円) 37,100/49,200 49,800 (49,800/62,800)
発売日 2020/10/13 2019/5/21 2019/5/21

【2022/7/27追記】
※Meta Quest 2 (Oculus Quest 2) は2022年8月から価格改定により、128GB: 59,400円、256GB: 74,400円に値上げされました。

※Oculus Questは既に終売。Oculus Rift Sも2021年に販売終了済み。また、Meta (Facebook) 社はPC接続式ヘッドセットを今後開発しないことを明言している。
そのため、新しくPC接続式ヘッドセットへ買い替えるならば、HTC VIVE系列かVALVE INDEX系列の二択になる。 (ここでは代表的なヘッドセットしか挙げていませんが…)

以上のことを踏まえてOculus Rift SからMeta Quest 2 (Oculus Quest 2) へ買い替える際の利点、欠点を考えていきます。比較の前提としてQuest 2はOculus linkによるPC接続でプレイするものとします。

買い替えの利点

安価な価格

 Quest 2の価格は解像度・リフレッシュレートが向上したにもかかわらず、Rift Sよりも13,000円安くなっている。現在フリマサイトでのRift Sの中古相場が30,000円であることを考えると、差額約10,000円と非常に安く乗り換えられる。HTCのヘッドセットはフルセットで10万円と比較的高価なのでこの価格は魅力的。

【2022/7/27追記】
Meta Quest 2 (Oculus Quest 2) は価格改定で59,400円に値上げされました。2022年8月現在もフリマサイトでのRift Sの中古相場が25,000-30,000円なので乗り換え時の差額は約30,000円。他に同価格帯のVRバイスも出始めているので一考の余地はある。

解像度向上によるスクリーンドアの解消

 Quest 2の解像度は一枚当たり1832×1920とRift Sのピクセル比約2倍。これによりスクリーンドアの解消に期待できる。

CV1 (1080×1200, ペンタイル) からRift S (1280×1440, ストライプ) へ変わったときは大きな変化を感じた。感覚的には網戸越しに見る→液晶を間近で見るような変化だった。ピクセル配列が変わるわけではないので劇的な変化は望めないが、今回も同じようにスクリーンドアが解消されて没入感が高まることが期待できる。

スタンドアローンでもプレイ可能になる

 スタンドアローンでプレイ可能になることによりPC周りで必ずプレイする必要がなくなり、プレイスペースの確保がしやすくなる。周りの物を破壊しそうで今まで手の出し辛かったアクション系VRゲームを気軽にプレイできる…かも?また、VRの天敵であるケーブルの煩わしさからも解放される

リフレッシュレートの微増

 今後のアップデートによりリフレッシュレートがRift Sより+10Hzの90Hzとなる予定。たかが10Hzであるが、個人的には60Hzモニターを79Hzへオーバークロックした際に大きな変化を感じたのでバカにできない。振り向きなど激しい動きが伴うVRゲームにおいては判断材料になるだろう。

【2021/5/3追記】

 アップデートによりQuest 2のリフレッシュレート上限が120HzとRift S+40Hzとなりました。対応ゲームは限られるものの、Rift Sとの差が明確になる点。対応ゲームに自分の普段遊ぶゲームが入っていないか確認したいところ。

買い替えの留意点

約4Kになる解像度にグラボが耐えられるか

 Oculus linkを使う場合、その解像度は4K相当(Rift S比2倍)となるためグラボのパワーがかなり要求される。通常のゲームで4K90fpsを達成するとなるとRTX3080は欲しい。と考えるとOculus linkを使って快適に遊ぶにはRTX3080相当のグラボが必要になるはず。
VRゲームと通常のゲームを一概に比較はできないが、場合によっては買い替えたもののOculus linkで使用するにはグラボパワーが足りず、PCと接続できないまたはグラボの買い替えが必要になる可能性がある

 今、VRヘッドセットを持っている方は一度内部解像度をMeta Quest 2 (Oculus Quest 2) 相当に合わせてフレームレートを確認した方がよい。SteamVRの設定画面の動画項目にレンダリング解像度の欄がある。
デフォルトでは解像度が使用機器の1.5倍に設定されているので、Oculus Quest 2の解像度の1.5倍である2748×2880に近くなるような値にして快適にプレイできるか確認すべき。

SteamVRのレンダリング解像度変更画面

Steam VRの設定からレンダリング解像度を変更できる

 

 

IPD調整機能の簡略化

 Quest 2はレンズを直接手で動かして、IPDを58, 63, 68mmの三段階で調整できる。Rift Sではソフト側で調整していたのでハード側から調整できるのは利点になるものの、0.5mm刻みに調整できていたのが5mm刻みになってしまったのは欠点になる。

まだ、Quest 2のソフト側で細かな調整ができるかは明らかになっていないが、できないとしたら焦点がうまく合わずVR体験の品質が下がる。Quest 2のソフトでIPDの微調整ができるかどうかは発売後に確認すべき点の一つ。

Oculus linkによる周辺視野の解像度低下

 Oculus linkでPC接続した場合、データ圧縮のために画面端付近の解像度が低下する。これはRift Sにない特徴でデメリットといえる。ただ、Mogura VRさんのOculus Link比較記事に掲載されているOculus link時のQuestとRift Sの画像に大きな違いは感じられないので過剰に気にする必要はないと思われる。(ただ、実機と画像の差や個人の感じ方の違いもあるため、実店舗で試遊して確認するのが確実。)

→【11/7追記】有線接続時に解像度が低下するという意見多数

Oculus linkのAADTの説明

Oculus linkでは負荷軽減のため画面端の解像度を下げている YouTubeより引用

カメラが1基減ることによるトラッキング性能の低下

 Rift Sのトラッキングカメラが5基であるのに対してQuest 2では4基と減る。そのため、トラッキング範囲が少し狭くなる。ただ、Questのトラッキング精度について悪いレビューはあまり見かけないので知っておくといいレベルの欠点だと思われる。

発売後に確認すべき点

装着感

 最も確認しなければいけない点。Quest 2のヘッドバンドが面ファスナーの付いた布であるため、Rift Sのホイール式に比べるとQuest 2の固定の強さは劣ると考えられる。そのため、乗り換える方はQuest 2 Eliteストラップ (7,830円) を買った方が以前と感覚の差異なくプレイできると思われる。

【2022/7/27追記】
価格改定によりQuest 2 Eliteストラップ: 6,800→7,830円に値上げ

Oculus Quest 2のヘッドバンド

ヘッドバンドは布素材になる YouTubeより引用

 また、Quest 2はRift Sとは違いスタンドアローンであるため、ヘッドバンドを除いた本体部が重くなっていると考えられる。そのため、重心が前方部に集中し、Rift Sよりも目の周りの負担が大きくなり、痛くて続けられない事態が発生する可能性がある。そういう意味でもEliteストラップは必須になると思われる。

→【11/7追記】Eliteストラップがたった数日で壊れたという報告が複数件あり

余談ですが、私はRift Sのヘッドバンド後方に100均で買った250gのリストウェイトを付けています。これを付けることで重心が頭の上に乗るようになり、快適に長い時間プレイできるようになりました。そのため、スペック上の重さよりも重心位置の方が装着感に直結すると個人的には思います。

スピーカーの品質

 Oculus Quest 2はヘッドバンド、IPD調整機能などのマシンパワー以外の面でコストカットされている。そのため、スピーカーもコストカットの影響を受けている可能性がある。スピーカーの品質はVR体験において大切な音の定位に関わるため、要チェック。

Oculus linkケーブルとOculus Rift Sの接続ケーブルの違い

 Rift SはPC接続型であるため、PCと接続する5mのケーブルが付属するが、Quest 2では2mの充電ケーブルしか付属しない。このケーブルでもQuest link (Oculus link) はできるが、USB2.0であることと2mしかないことを考えるとPC接続ケーブルを別途買った方がいいと思われる。

ただ、公式が販売している5mのケーブルは1万円と高い一方、公式が推奨しているAnker製のケーブルは1200円と安いものの3mしかない。また、ケーブルの柔軟性や本体に接続するコネクタがL字でないと重心がずれるなどケーブル選びが難しい。PC接続時のVR体験でケーブルの違いの影響がどう出るかは確認しておきたいことの一つ。

【2022/7/27追記】

 Quest 2にアップデートで「Air link」というPCとの無線接続機能が追加されましたが、各種レビューを見ていると有線のOculus linkには劣るとのこと。グラボ積んだPC持ちとしては選択肢が増えるのは嬉しい点。

【11/7追記】Quest2発売後の反応で気になった点

Meta Quest 2 (Oculus Quest 2) でOculus linkすると解像度が低下する

 有線接続時に解像度が低下するという意見がTwitter上で多くみられる。このときの解像度はRift Sと比較しても良いとは言えないレベルらしい。この原因がPCのパワー不足かOculus Linkの最適化不足かはわからない。一応Oculus Debug Toolを使った解像度の向上方法もあるが、劇的な改善には至っていない模様。

 以上の情報から有線接続での解像度向上を目的にRift S (PC接続型VRヘッドセット) からQuest 2に買い替えるメリットは現時点で薄いと言える。アップデートによる最適化があるといいのだが…もちろん無線使用を前提とするならば買い替える価値は大いにあると思う。

Eliteストラップが壊れやすい (追記あり)

 上記の記事で買い替える際にEliteストラップは必須と紹介しました。そのEliteストラップがたった数日で壊れたという報告が複数件寄せられている。壊れた写真を見る限り、側頭部の薄い部分が完全に割れており修復は難しそう。その写真はOculus Quest 2 Elite Strap Snapping, Multiple Users ReportAmazonのレビューから見れる。

 Oculus Pauses Quest 2 Elite Strap Shipments Amidst 'Quality Reports'によるとFaceBook社はこの問題は稀なケースであるとしながらも改善に取り組んでいるらしい。2020年11月7日現在公式サイトではEliteストラップの販売を中止している。そのため、これからQuest 2を購入する方はすぐにはEliteストラップが使えないことに留意したい。また、他サイトではまだ販売しているので購入の際には注意したい。

【2022/7/27追記】

 今は販売再開されており、Metaによると初期生産分に問題があったとのことだが、現在でもEliteストラップが壊れたというレビューが散見される。購入の際には引き続き注意したい。

Quest2使用に必須のFaceBookアカウント凍結(追記あり)

www.moguravr.com

 Quest2の購入に伴い、新たに作ったFaceBookアカウントが凍結される事例が多く報告されている。誤った情報での登録なら致し方ないと思うが、正しい個人情報を入力したのにも関わらずアカウント凍結された例もある。FaceBookアカウントが凍結されてしまうと最悪の場合、Quest2が文鎮と化してしまう。今では凍結されたアカウントが解除された報告も聞くが、このようなリスクがあることを承知しておきたい。

【2022/7/27追記】
 
2022年8月からはログイン時に必要となるのがFacebookアカウントからMetaアカウントへ変わった。そのため、ログインにFacebookアカウントが必要なくなり、アカウント凍結による文鎮化のリスクは小さくなったと言える。

www.moguravr.com

まとめ

買い替えの利点

  • 解像度Oculus Rift S比2倍になる→スクリーンドアの解消
  • スタンドアローンでプレイ可能→プレイスペースが確保しやすい
  • リフレッシュレートの増加
  • 以上の利点がありながら、安価に乗り換えられる

買い替えの欠点

  • 解像度が高いためこのままだとOculus link時にグラボパワーが足りなくなるかも
  • IPD調整機能が5mm刻みになる

発売後確認すべき点

  • IPDの微調整がソフト側でできるか
  • 長時間プレイしても快適な重心位置か
  • スピーカーの品質は良いか
  • PC接続ケーブルによる装着感の変化はどうか

発売後に気になった点

  • Oculus link時の解像度はスペック上の数値よりも劣る
  • Eliteストラップが壊れる事例が現在でもある
  • 使用に必須のFaceBookアカウントが凍結されて使えなくなる事例はMetaアカウントの導入で解決
あとがき

 私が気になっているRift SとQuest 2の違いをまとめてみましたが、いかがでしたか。Rift Sと初代Questが発売された当時はRift SのみがPC接続でき、価格も同じだったのでRift S一択でした。しかし、現在ではOculus linkの登場・Facebook社のPC接続型VRヘッドセット開発停止と状況が大きく変わりました。

Rift SからQuest 2に買い替えるべきか…それとも更なる新製品を待つか…私はとりあえずOculus linkでQuest2の解像度を十全に発揮できるようになるまで待ちたいと思います。さて、ここまで読んでくださった皆様はどうしますか?

著作権表記
本記事中で引用した画像の著作権は以下にあります。© Meta